Box 1A アフリカツメガエル(Xenopus laevis)発生の各段階
from 第1章 発生生物学の歴史と基本概念
アフリカツメガエル(Xenopus laevis)
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脊椎動物の発生はとても多様だが、アフリカツメガエルの発生を用いて例示できるいくつかの基本的な発生段階がある
未受精卵は大きな細胞であり、表層が色素顆粒に富んだ動物極(animal pole)と、卵黄顆粒に富んだ植物極(vegetal pole)を持つ
卵と精子が受精(fertilization)し、精子由来の雄性前核と卵由来の雌性前核が融合した後に卵割(cleavage)が始まる
卵割では細胞は成長することなく体細胞分裂し、分裂のたびに個々の細胞は小さくなる
約12回の分裂後、胞胚(blastula)と呼ばれる時期に達する
胞胚の植物極側の細胞は大きな卵黄生細胞で、動物極側では、液で満たされた膣(胞胚腔(blastocoel))を多数の小さな細胞が取り囲む
この時期になると細胞はすでに均一でなく、細胞-細胞間の相互作用により3つの胚葉(germ layer)への発生運命がある程度指定される
中胚葉(mesoderm)、内胚葉(endoderm)、外胚葉(ectoderm)
動物極のあたりの細胞は皮膚の表皮と神経系を生じる外胚葉となる
この時期、体内器官になる運命の予定内胚葉と予定中胚葉は、いまだ赤道周辺から植物極にかけて胚の外側に露出している
原腸形成(gastrulation)では細胞の劇的な再配列が起こる
内胚葉と中胚葉になる細胞は内部に潜り込み、オタマジャクシの基本的なボディプランが確立する
胚内部では、中胚葉が脊索とよばれる頭から尾までの棒状の構造を、神経管の直下、中軸に生じる
脊索の両側には体節とよばれる分節した中胚葉塊が生じ、これからは筋肉、脊柱、皮膚の真皮が形成される
原腸形成後まもなく、脊索の上部の外胚葉が折りたたまれて神経管(neural tube)が形成され、ここから脳と脊髄が生じる
この過程は神経管形成(neurulation)とよばれる
この時期までに、四肢、眼、鰓などさまざまな器官原基が、それぞれの未来の位置に指定される
しかしその発生は、その後の器官形成期(organogenesis)に起こる
器官形成期に、筋肉や軟骨、神経など特殊化した細胞が分化する
器官形成期から48時間以内に胚は典型的な脊椎動物の特徴を持ったオタマジャクシ幼生となり、餌を摂取する